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〜〜第15章〜〜


8月12日 PM7:35 Cloud Nine登場!!

後日、このイベントに参加した方々にお話を伺ったら、「もしかしたら、TAIJIが来て、挨拶ぐらいしてくれるかもしれないとは思っていた」そうです。
ただ、まさかまだどこにもメンバーの顔や音源を出していなかったCloud Nineが登場するとは、誰も思ってもいなかったようでした。

スタッフが、早々とロープで観客の真ん中を割いています。
非常灯を持ったTRIBALのスタッフの方々が、そのロープの周りを守ります。
男性スタッフも数人、そちらに入ります。
ステージの前にもすでにスタッフがずらっと並びます。とくにモニターは潰れやすいそうなので、それを重点的に守ります。
お客さんの中で身体が弱い方の周りにも数人ついてもらいます。
途中、ほぼTAIJIが出てくるのだと確信したらしいお客さんが、大勢ステージ下手側に押し寄せてしまって、始まる前からすでにすし詰め状態となってしまいました。
もう前方の方では潰れそうになってます。
あわててステージに上がって、マイク越しに「もっと反対側に行ってください!」と叫びますが、なかなか動いてくれません。
ロープを張ってるせいで、動けないってのもありました。
男性スタッフも「こっちに移動してくれないと、始められません!!」と叫んで、ロープをいったんあげました。
数人が移動してくれて、少しは楽になりました。
「…ねえ、本当に出てくるの?」
「TAIJI?TAIJI?」
「うそ〜〜〜」
そんな声があちこちで聞こえます。
ステージ上では、すでにセッティングが終わってました。
お客さんの押しはますます強くなっていきます。
まだ、会場内の音楽はBGMのままです。
これがやがてSEになったら……。
そう思ってるうちに、いつしか、本当にSEになってました。
前日、オフィスTで聴かせていただいた、あのSEです。
「え?この曲って?」
XのDesperate AngelとD.T.RのCybernetic Crimeが、その原曲をとどめないまでに編曲されたこのSEに気づいたお客さんたちのざわめきが、ますます大きくなります。
もうすぐ、です。
お客さんの期待に満ちた顔とは対照的に、スタッフの顔は、皆、緊張でこわばってます。

やがて。
「Cloud Nine…Cloud Nine……Cloud Nine………
SEの中に、Cloud Nineという声が入り、だんだんと大きくなっていきます。
とたんに、悲鳴と歓声が上がります。

照明が、パッと客席後方を照らしました。
2階席から、蘭魔瑠くんを先頭に降りてくる男達がいます。
そして、その中に。
皆が、ずっとずっと、何年もの間待ち続けていたベーシスト、TAIJIその人の姿があったのでした。


<16>へ続く